For 10 years
それから三ヶ月、絢華ちゃんがファミレスへ来ることはなく、少しずつその想いも薄れていった。


でも顔を見ると、やっぱりダメなんだ。



イブの日、食事をしに来ただけじゃなく、旦那の優太くんと息子の蒼太くんも一緒に休憩室に入ってきた。


久しぶりに会った絢華ちゃんに、またどきどきした。


高鳴る胸を押さえて、いつものごとく平静を装いながら声をかける。



「あれ、絢華ちゃん?どうしたの?」


「あ、隼人さん、こんばんは。ちょっと話があって」



進藤さんも一緒に、わざわざこの場所に入ってきたんだから、きっと大切な話だろう。



「俺、席外す?」


「いえ、いてもらってかまいません」


「そう?」



上げかけた腰をまた下ろし、そのまま絢華ちゃんの後ろへと視線を移す。


すると……


優太くんが一歩前に出て



「いつも絢華がお世話になってます」



と丁寧に頭を下げた。


この瞳……正直苦手だ。


何でも見透かしていそうな瞳。


きっと彼は気付いてる……


俺の、絢華ちゃんへの想いに。
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