For 10 years
「一緒に作るか?」


「うん!」


「隼人さん、ありがとう」



そう言った絢華ちゃんは、涙をぽろぽろとこぼしてる。



「絢華ちゃん?」


「蒼太が、いまだに寝言で“パパ”って言ったり、優太の姿を探したりするの。でも、いないからっ……あたしと離れるのも、きっと不安なんだと思う」


「そっか」



蒼太くんだって、絢華ちゃんと同様に寂しい思いを抱えてるんだ。


俺といる時は、“楽しい”と感じさせてやりたいってそう思った。



病院を出て、買い物をしてから俺のアパートへ向かった。



部屋に入ると、蒼太は嬉しそうに「バーグ、バーグ」と連発する。


だから早速二人で挽肉をこね始めた。



「おー!上手じゃん!」



蒼太は挽肉をお団子のように丸めた。



「ジュージュー!」


「ジュージュー?あ、フライパンで焼くか?」


「うん!」
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