For 10 years
出来上がったハンバーグをメインに、テーブルの上に並べる。



「おいち」


「ん?おいしい?」


「うん!」



少しずつだけど、言ってることがわかるようになってきた。



「ママ、どーぞ」


「ママにもあげるのか?」


「うん!」



ママの話になると、嬉しそうな笑みを浮かべる。



「今度ママにも作ってやろうな?」


「うん!」



そのあとは一緒にお風呂に入って、そのまま眠りに就いた。



でもやっぱり……


絢華ちゃんが言っていた通り、蒼太は夜中に泣きながら“パパ”と叫んで暴れ始めた。


寝呆けている蒼太を宥め、ぎゅっと抱き締めた。



しばらくしたら安心したのか、俺の腕の中で眠ってしまった。



一晩一緒にいて、俺はいつの間にか蒼太くんのことを“蒼太”と呼んでいた。


それくらい身近に感じ、可愛くて可愛くてしょうがなかった。
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