For 10 years
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絢華ちゃんが職場復帰して一ヵ月近くたった頃、佳菜子さんが俺の元へやってきた。



「隼人くん、今日の夜は暇?」


「今夜?大丈夫ですけど」


「じゃあ、うちで夕飯ご馳走するから来てもらえない?」



夕飯?


何で突然そんなことを?



「絢華ちゃんと蒼太くんと優華ちゃんを誘ったんだけど、絢華ちゃん、車の運転ができなくなったみたいで。帰り送ってあげてほしいなって思ってるんだけど」



そういえば、車の運転ができなくなったって言っていた。



「いいですよ、俺も行きます」






佳菜子さんの家へ行ったは良かった。


蒼太は、佳菜子さんの子供、里佳ちゃんや隆くんに遊んでもらって、凄く嬉しそうだったし。


でも……


絢華ちゃんはずっと、顔を歪めていた。


今にも泣きだしそうな顔をしていた。



案の定……帰り、俺が運転する車の後部座席で、絢華ちゃんは声を殺しながら、涙を流し始めた。


声をかけるべきか、かけないべきか……迷った。


でも、絢華ちゃんの胸の内を聞いてやらねぇとって思った。
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