For 10 years
「いや……、そういえば、今月さ、優華の誕生日じゃない?」


「うん、覚えてくれてるんだ?」



当たり前だ。


絢華ちゃんや子供たちのことは、ほとんど俺の脳内にインプットされている。



「まぁな。今年もパァーッとパーティーしちゃう?」



今の俺には、こんなことしか思いつかない。


絢華ちゃんを、子供達を元気づける方法が。



「ほんとに?優華は喜ぶと思うけど」


「じゃあ、決まりな。つか、そろそろ怒られそうだから戻るわ」


「うん」



とりあえず約束はできた。



優太くんが亡くなってから、毎年蒼太と優華の誕生日には、パーティーを開く。


つっても、みんなで集まってお祝いするだけだから、パーティーなんて大げさなものじゃない。


でも蒼太と優華と、絢華ちゃんの嬉しそうな顔を見ると、俺は幸せな気持ちになるんだ。
< 47 / 119 >

この作品をシェア

pagetop