For 10 years
.



花火大会当日……


夕方三人を迎えに行ってから、花火大会の会場へ向かった。


近くまで車で行き、そこからは歩いた。


とにかく凄い人で、はぐれないようにと、少し後ろを歩く絢華ちゃんの方ばかりをチラチラと見る。


座る場所を確保して、そこに座った。


俺の足の上には蒼太、絢華ちゃんの足の上には優華が座った。


蒼太も優華も目を輝かせて空を見上げながら、まだかまだかと花火が上がるのを待ってる。



ヒュ~、パーーーン!



その音の大きさに、蒼太も優華も吃驚したみたいだ。


でも空を見上げて、すぐに笑顔になった。


嬉しそうな蒼太と優華とは対照的に、絢華ちゃんは泣きそうな顔をしてる。


優太くんとの思い出を振り返っているんだろうか。


そのうち、ほんとに涙が流れ始めて……



「絢華ちゃん、何で泣いてんだ?」



優太くんとのことを思い出してるんだろうとわかってるのに、そう聞いた。



「何でもない、大丈夫だよ」




帰りの車内、大興奮だった蒼太も優華も、気付いた時には眠ってしまっていた。


きっと疲れたんだろう。
< 68 / 119 >

この作品をシェア

pagetop