For 10 years
アパートに着いて、二人を布団に寝かせた。



「隼人さん、今日はありがとう。二人ともあんなに喜ぶとは思ってなかった」


「あれだけ喜んでくれたら、連れていって良かったって、本気でそう思う。でも……、絢華ちゃんは、ずっと悲しそうな顔をしてたよな」


「……」



うつむいている絢華ちゃんが、ポツリと本音をこぼした。



「隼人さん、何で、優太だったのかな。……あの日、事故にあったの、何で他の人じゃなくて、……優太だったんだろう」



そう言って、絢華ちゃんは優太くんの遺影を手にとった。


その瞬間、絢華ちゃんの目から涙がポロポロと溢れてきた。


絢華ちゃんはうつむいたまま、優太くんの写真をぎゅっと抱き締めた。


そんな絢華ちゃんを見ていたら、無性に抱き締めたくなった。


気付いた時には立ち上がっていて、気付いた時には絢華ちゃんのことを抱き締めていた。



「…ゆ、うたぁ……う…くッ…」



絢華ちゃんは、そう声にだしながら、俺の胸に顔を埋めてしばらく泣き続けた。
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