For 10 years
あれから約一週間。


あの日から、絢華ちゃんの雰囲気が変わった。



もしかしてあの男と……と思いながらも、そうであってほしくないと願う。


でも……


情けないことに、それを聞けずにいた。



「隼人、絢華ちゃんが調子悪そうだから早退させた」



休憩室で休んでいたら、進藤さんが入ってきて俺にそう伝えてきた。



「いつ?」


「たった今」



その言葉を聞いて、裏口へ向かった。


そういや、朝から元気がなかった。


今日は上がり時間が一緒だから、話を聞くのはその時でいいと思っていたんだ。


裏口のドアを開け、外へ出ると……



「絢、華……ちゃん」



正直、見たくない光景だった。


そして……


信じたくない光景だった。
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