For 10 years
だから……



「兄貴なんだろ?」


「えっ」



うつむいていた絢華ちゃんが顔をあげた。



「絢華ちゃんにとって俺は、兄貴なんだろ?話してみ?」



絢華ちゃんにとって、俺はずっと兄貴だったんだ。


だから、これからも兄貴でいてやりたい。


少し考える素振りを見せたあと、絢華ちゃんが口を開いた。



「あたし、……蒼太も優華も、隼人さんのことが大好きなの、わかってたのに。“もう一緒にお風呂には入れない”とか“遊べない”とか、……言っちゃって。あんな泣き顔を見たくて言ったんじゃ、なかったのにッ……」


「……」


「でもこのままじゃいけないって、……蒼太にとっても、優華にとっても、隼人さんにとっても。いつか傷付いちゃうからって」



絢華ちゃんは、俺のために、俺への傷を少しでも浅くしようと、きっと早く離れることを選んだんだ。


だから……
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