For 10 years
「でも…」


「それに、絢華ちゃんが俺のことを考えてくれたその気持ちだけで、……それだけで、俺は十分だ」



俺のことを考えてくれたという、その事実が嬉しくてたまらない。


そんな絢華ちゃんに……


俺は何ができる――…?


脳を目一杯働かせて、何かできないかを考える。



――そうだ。



「絢華ちゃん、近々蒼太と優華に会えない?」


「えっ」


「アパートにはもういけないから、明るい時間じゃなきゃダメだよな?」



今の俺にできること。


蒼太と優華に会って傷付いた心を癒してやる。


俺のことで傷付いたなら、俺にしか癒してやることはできない。


でも、絢華ちゃんに彼氏ができた以上、アパートに入ることはできない。



「二人を俺のアパートへ連れていってもいい?」


「隼人さんのアパート?」



連れていったら不安だろうか?



「ん、絢華ちゃんは自分のアパートで待っててくれていい。二人を連れていったら心配?不安?」


「そんなことないけど」
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