For 10 years
「蒼太と優華は、ママの喜ぶ顔を見たくないか?」


「ママのよろこぶかお?」


「みたい!」



二人は身を乗り出して声を張り上げる。



「だろ?今のママは、いっぱい笑ってるか?」


「ううん、なきそうなかおしてる」



やっぱりそうなんだ。



「もうすぐママの誕生日だから、パーティーしてやろうか?」


「うん!するっ!」


「でも、蒼太と優華は、誕生日までママに内緒にできるのか?」



子供は何でもペラペラとしゃべっちまうからと聞いてみるけれど……



「「できるっ!」」



自信満々に答える二人。


ほんとだろうか。


かなり怪しいもんだ。


まあでも、バレたらバレたでしょうがねぇか。


そういえば……



「蒼太は夢によくパパが出てくるんだろ?」



絢華ちゃんがそう言っていた。



「うん!」


「パパはいつもなんて言ってる?」


「えっとね。“ママのいうこときくんだよ。ママのことだいじにするんだよ。ママのしあわせをねがうんだよ”……いつもそういうんだ」


「そっか」
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