For 10 years
夢にまで出てきてそんなこと言うなんて……


優太くんの絢華ちゃんへの愛は、計り知れないくらいすげぇよ。



「なあ蒼太、優華。ママの幸せってなんだと思う?」


「ママのしあわせ?」


「ん」



蒼太は少し考えてから



「ママはね、しゅんにいちゃんとよこにならびたいっていってた」


「舜兄ちゃん?」



絢華ちゃんが付き合い始めたあの男のことだろうか。



「うん。でも……」



蒼太が今にも泣きそうな顔になった。



「“でも”なんだ?」


「ママがしゅんにいちゃんとならんだら、はやとくんとあそべなくなるもん」



そう言って、我慢していた涙が小さな目からぽろりとこぼれた。



「なあ、蒼太は夢の中で“ママの幸せを願う”って、パパと約束したんだろ?」


「うん」


「じゃあちゃんと願ってやらねぇと」


「どうやったらねがえるの?」


「ママは、舜兄ちゃんと一緒にいることが幸せなんだぞ。蒼太も優華も、ママにはいつも笑っていてほしいだろ?」


「「うん」」
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