青空バスケ―3rd―
「……栞奈さん」
洋輝君に声をかけられ、あたしはゆっくり顔を上げた。
「俺……栞奈さんにも感謝してます。
栞奈さんがいなかったら大地と仲直りできてなかったと思うし……」
……洋輝君がまっすぐあたしを見た。
「栞奈さん……あの時俺に言いましたよね。
自分の本当の気持ちを話せば相手もそれに応えてくれるって……」
……言ったよ。
確かに……洋輝君にそう言った。
「栞奈さんは……先生に伝えたんですか?
自分の本当の気持ちを……」
……あたしはハッとして洋輝君の顔を見た。
「……岬」
監督があたしを呼ぶ。
監督の方を見ると、監督はお父さんのような優しい目をしていた。
「……行ってこい」
……あたしは走り出した。
伝えなくちゃいけなくて……
きっと、今言わなかったら……絶対後悔するから。
……とにかく、走った。
大和の元へと――