青空バスケ―3rd―
「……いいんだよ、もう」
「いいって何が……」
「梨子が望まなかったんだよ。
アイツは俺じゃなくて蛯原を選んだ。
……ただそれだけ」
……蓮ちゃんの顔は苦しそうだった。
今まで見たこともないぐらい……辛そうだった。
「……付き合ってたのか?」
「……いや。
まぁ……あのままいってたら、確実に付き合える位置にはいただろうけどな」
大和の問いに失笑しながら答える蓮ちゃん……。
こんな蓮ちゃん……見たくなかったのに。
あたし達には……何もできなかった。
ただ、辛そうな蓮ちゃんを見ていることしか……できなかった。
……あたしと大和は何も言えずに……ただ黙って、蓮ちゃんがこの部屋を出て行くのを見届けることしかできなかった……。