青空バスケ―3rd―
「梨子ちゃんが友達思いなのはすごくいいことだと思う。
でも……今のままじゃ梨子ちゃんは幸せになれないよ」
「……大丈夫だよ。
あたしは……」
「大丈夫なんかじゃない……。
本当に大丈夫なら……どうしてそんなに辛そうな顔してるの?」
「え…………」
「分かるよ……。
知り合ってからそんなに経ってないあたしでも分かるぐらいに辛そうで苦しそうだよ……」
……梨子ちゃんはうつ向いた。
その表情はとても暗かった……。
「あたし、今までの梨子ちゃんとか全然知らないけど……。
でも、そうやって欲しいものを……手に入れたいものを全部……逃してきたんじゃないの?」
ピクッと梨子ちゃんが反応した。
「だったら……今回は絶対に逃しちゃダメだよ。
梨子ちゃんがそんなに苦しむぐらい本気で蓮ちゃんのことが好きなら……その気持ちは絶対に消えないから。
これを逃したら……きっと、一生後悔する」
蓮ちゃんのためとかじゃなくて……
梨子ちゃんのために……ちゃんと向き合うべきだと思う。
このままだったら梨子ちゃんは自分が本当に欲しいものを全部他人に譲り渡して……苦しむと思うから。
後悔すると思うから。
あたしは……梨子ちゃんの笑顔が見たいから。