青空バスケ―3rd―

……俺は上着のポケットの中に手を突っ込んだ。

試合の時はベンチに置いておいた上着。

そこから……四角い箱を取り出す。


蓋を開けると……夕日に照らされて、中に入っていたものがキラリと輝いた。



「……俺と……結婚してください」



ここまで来るのに……24年。

付き合い始めてから今まで……7年とちょっと。

きっと、これから俺達が歩いていく人生の方がずっと長いだろう。


でも……その長い人生を一緒に歩んでいきたいって……

ずっとそばにいたいと思える人を……俺は見つけた。



……栞奈の目がじわじわと涙で溢れていく。


今まで……何度栞奈の涙を見てきただろう。

泣き虫で、よく泣いてるけど……その内、俺のせいで流した涙が何度あっただろう。


……もう、泣かせたくない。

流すなら……嬉し涙だけで。



「……はい」



涙声で……でも、しっかりと返事をした栞奈を見る。

栞奈は涙が溢れている目で俺を見上げながら……いつものように優しく微笑んだ――

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