青空バスケ―3rd―
「暁弥は良くて俺はダメとか……意味分かんねぇ。
じゃあ、俺は何のためにいるんだよ。
……そんなに俺が頼りになんねぇのかよ。
話したくない、ほっといてくれって言われたから心配して来てみれば他の男と楽しそうに話してるし……。
……マジでもう無理」
……気がつくと、栞奈の目が少し潤んでいた。
栞奈は俺を見て……小さく口を開いた。
「大和だって……仕事のことは何にも言わないじゃん」
「話す必要ないからだろ」
「じゃあ、何で最近あんなに悩んでたの!」
栞奈は潤んだ目で真剣に俺を見た。
「あの時……かけ直すって言って、結局かけ直してくれなかったし。
そうかと思ったら頭抱えて悩み始めるし……」
「あれは……」
「大和が無理ならあたしだってもう無理だよ……。
分かんないもん……全然……大和のことが……」
「……俺だって分かんねぇよ。
栞奈が何考えてんのか……全く」
……少しの間、沈黙が流れる。
時計の針の音だけが聞こえる……静かな部屋。
その沈黙を破ったのは……俺だった。
「……俺、もう限界」
俺の言葉を聞いて……栞奈がゆっくり顔を上げた。
「……じゃあ、もう終わりにしよ」
……栞奈の静かな声が俺の耳に響く。
「……バイバイ」
……栞奈の目には涙が溜まっていた。
栞奈はそのまま俺に背を向けて……静かに部屋を出ていった――