青空バスケ―3rd―
「栞奈とヨリ戻す気はないってことか」
「……………………」
「俺はてっきりお前らが結婚するものだとずっと思ってたんだけどな」
「……みんなそう言いますよ」
「……お前、高三の時に言ってたよな。
今度は栞奈と一緒に生きていくための夢を見つけたいって」
「……もう六年も前の話ですよ。
あの頃は俺だってまだまだガキだったし」
人生、そう上手くはいかない。
俺はビールを一気に飲み干した。
「……もう好きじゃないのか?」
「……好きっすよ。
嫌いになんて……なれるわけないじゃないですか」
そう言いながら俺は苦笑いした。
「じゃあ、どうして……」
「好きすぎて……ですかね」
鳴瀬先輩は意味が分からなさそうに首を傾げた。
俺はそんな鳴瀬先輩を見て小さく笑った。
「俺……ガキの頃は本当に毎日栞奈と一緒にいたんですよ。
だから、就職してお互いに自立して……会える時間なんて本当に少なくなって。
他の人からしたらバカだと思うかもしれないけど……普通はこれが当たり前のことだと思うんだけど……。
……でも俺にとっては何かこう……すげぇ違和感があって……」
……鳴瀬先輩は黙ったまま俺の話を聞いていた。
「……バカみたいですよね。
でも、俺からしたら栞奈はそれだけすげぇデカい存在で……」
鳴瀬先輩はにっこり微笑みながら……ゆっくり大きく頷いた。