青空バスケ―3rd―
「……ま、大和の気持ちは分かるよ。
男だったら好きな女の子には頼ってほしいもんな」
「先輩は頼られたことあるんですか?」
「俺?
俺は男に頼られてばっか。
玲とか夏樹とか……それにお前も」
「……お世話様です」
「ははっ!
いいんだよ、俺は昔からそういう役回りだし。
苦労してなんぼの人生送ってるから」
鳴瀬先輩は笑いながらそう言った。
「……もしお前が本当に栞奈を忘れて新しい道を歩くって言うなら、俺は応援するよ。
……本当に忘れられるなら、な」
「……忘れられるわけないじゃないですか。
……多分、もうアイツ以上に好きになれる人なんていないと思うし」
24年間、ずっと栞奈だけを見ていた。
今更ホイホイ他の女にいけるわけがない。
「……大和……」
「本当……バカですよね。
……どうしようもないぐらい」
俺達の間に沈黙が流れ……ただ周りの騒がしい声だけが聞こえていた――