必然の再会【TABOO】
お手洗いと言って席を外したままの私を迎えに来たのは、十年ぶりに再会した幼馴染だった。
高校を卒業してから県外に出ていたが、職場の異動で最近地元に戻って来たらしい。まさか人数合わせで参加しただけの合コンで、再会するとは思わなかった。
通った鼻筋に、黒く印象的な瞳。耳まで伸びた髪はセットされていて、横に流した前髪からは凛々しい眉が覗いている。
昔と変わらない顔に男っぽさがにじみ出ていて、離れていた時の長さを感じさせた。
「あ……じゃあ、私も行こうかな」
「待てよ。なんか、沈んでるんじゃないか?」
席へ戻ろうとした手を取られ、壁に背を押し付けられた。じっと見つめられると、心の奥まで見透かされているような気がしてくる。
「し、沈んでないよ」
「十年離れてたからって、俺のこと騙せると思ってんのかよ。お前のことなら、何でもわかるんだからな」
これだから、幼馴染って面倒だ。だけど、気にかけてくれることが酷く嬉しい。
「で、何があったんだ?」
「別に……っ」
泣いてしまいそうになり、顔を隠すようにして俯いた。
放っておいて欲しい。今、優しくされると甘えてしまいそうになる。