【短編2】甘い罠〜12回のキス〜


黒縁メガネと青いカーディガンがよく似合う青年が本とあたしを交互に見る。

その突き刺さるような視線に耐えられなくて手元が狂い、本が音を立てて落ちた。

本を拾うあたしと青年の小指がそっと触れた後、唇も触れた。

たった一瞬、小指が触れただけなのにそれが合図となって求め合う。

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