音と夢の羽

卒業

わたしのクラスでの居場所は、クラスで飼っているアゲハ蝶の世話だった。

昆虫が好きだった。

休み時間、ひとりぼっちで教室に居たくないから、

芋虫のエサを取りに、校舎裏へ出かけていた。

芋虫を持って帰って、家で育てた。

これでさみしくなかった。

わたしはひとりぼっちじゃなくなった。

それに、先生はわたしと話してくれた。

わたしは、クラスメイトから無視されていることを言わなかった。

親にも、先生にも。

この頃から人の顔色を伺うようなクセがついた。

先生はいつも音羽ちゃんは、
「頑張り屋さんだからね」
と優しい笑顔で言ってくれた。

その言葉だけで充分だったの。

さみしさは誰よりも知っていた。

だからこそ、人の優しさ、温かさは誰よりも温かく感じられた気がしたの。
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