初恋メランコリック
「…もう、あんまり大きな声出さないでよ。あくまでも病人がいるんだから……」
そう言いながら、俺は2階の廊下に出た
すると、千尋がなぜか廊下に体育座りしている
またこのパターンか…
「ちょっとなになに、今の間抜けな叫び声。あっ、もしかして湊?湊なわけ?いやー、いくら湊でもあんな叫び声するんだー」
「いや、俺じゃないからね。」
叫び声はリビングにまで聞こえていたようで、葵がクスクス笑いながら階段を上がってきた
相変わらずダルそうだけれども
「いや凛と茉奈ちんが……」
「は?凛と茉奈がなに?」
そういいながら千尋に近寄り、凛の部屋を覗き込む葵
すると、
「うっわー、湊ちょっと見てよこれ。」
「なに?」
そう呼ばれ凛の部屋を覗き込むと、そこには見たら誰もが誤解するだろう光景が目に飛び込んできた
なんと、茉奈ちゃんと凛が二人で寝ているのだ
茉奈ちゃんはベッドの枕元に顔を俯け、床に座っている
凛はベッドで茉奈ちゃんの手をしっかりと握り、スヤスヤと寝ているのだ
この何とも言えない変な沈黙を破ったのは、我らが天使の光輝だった
「凛っ、凛!起きてー!なんで茉奈と凛が寝てんの!!」
光輝はそういいながら、凛の体を揺さぶる
光輝は涙目だ。
周りに目を向けてみると、葵は面白そうに手を口元に当て部屋のイスに座って、その様子を見ている
なんて性悪だ
一方千尋は、今度は部屋の中にて体育座りを続行中だ
あれは拗ねているんだろうか…