初恋メランコリック

茉奈side

そう、声がするの


誰かの優しげな声が、聞こえてる







「起きろ茉奈ー。いーかげんに起きないと、ちゅーしちゃうぞー!」




「くぁーー!」







そう軽く背伸びをして、豪快にあくびをするあたしは周りからみれば女子ではないかもしれない……と、自分でも思った






「目が覚めた?茉奈ちゃんは、」






ふいに名前を呼ばれ、その方向を向く

すると、イスに逆向きで座った綺麗な顔の持ち主は妖艶な笑みを浮かべて、そう言った






「何やってんの…………葵、」





「…そろそろ茉奈ちんを起こしに行けと言われたんで」





「それはご苦労様でした、ありがとう」







葵はなかなか起きないあたしを、起こしに来てくれたらしい

たまにはいい事するじゃないか。
普段あんなにダルそうな葵が起こしに来てくれるなんて、感心しちゃうぞ茉奈ちんは



あたしはというと、凛に薬を渡しに行ったまま凛の部屋でそのまま寝てしまったらしい


なぜか隣に光輝くんが可愛らしい寝顔を見せているが、そこはあえてスルーする


でも、なんて可愛らしい寝顔なんだ…

唇赤っ!!
肌白っ!!
まつ毛長ッ!!?


なにこの子!?
ホントに男の子なわけ?


こんなかわいい男の子なんか犯罪でしょ。
性別詐欺だ!!



この長いまつ毛なんかいい感じにカールしちゃってさ!
ちょっとくらい毟ってもいいかな。
まだ許されるよね!


そんな事を考えながら、光輝くんの寝顔をこれでもかってくらいガン見してるあたしって、相当な変態だ
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