初恋メランコリック





葵は目線をそらす事なく、じっとあたしの瞳を見つめる
怖いくらいに綺麗なその顔は、やけに近くて



葵がモテる理由もわかる気がする


こんな綺麗な顔してるんだ
モテないのが逆におかしい



少しも崩さない葵のポーカーフェイスからは、何も読み取れなくて


ただただ、綺麗なだけ。







「…言わなきゃわかんないの?」







キョトンとした顔で、あたしにそう尋ねる葵

一体なんの事なのかさっぱり分からない
答えが浮かばず、黙り込むあたし


手も足も出ない、その言葉がこの状況にぴったりだろう







「どういうこと?」






「んー、分かんない」







いや、それはこっちのセリフだ。


会話の意図が、全く読み取れない
どうもこの人は不思議ちゃんらしい。困ったもんだ







「だからね、ーーーーこういうこと。」







そう言って葵はいきなりあたしの腕を引っ張り、自分の方へと寄せつけた


必然的に葵の方へと傾く体






熱い。


葵の唇が当たっている場所が、熱い。






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