初恋メランコリック




一瞬、何が起きたのか分からず思わず目を見開く

目の前には、相変わらず葵の綺麗な顔。
長いまつ毛はしっかりと伏せていて、影ができている







「…わかった?」







唇を離し、そう耳元で呟いて妖艶な微笑を浮かべる葵



信じられない。


そう、この男はあたしの唇ギリギリで横の頬にホントにちゅーをしたのだ










「…ーーっ、な、なななな!?」







そうめちゃくちゃ噛んだあたしの顔は、ひどく熱い


両手を頬に持っていき、体温を下げようとするがなかなか下がらない





こいつ……


寝てるけども、あくまでも寝てる凛と光輝くんがいる部屋でちゅーしてきたのだ

しかもすぐ下には、騒がしい千尋の声が



すると葵が口を開いた








「無防備すぎだよ、おバカさん。」







と、頭を小突いて部屋を出て行った






微かに残るのは、葵にはあまり似合わない甘いコットンキャンディの香りだけだった


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