初恋メランコリック
「あーやっぱなし!今のはなしにして?ホント何でもないから…」
あたしの腕をそっと離して、そう焦ったようにニカッとした笑みを浮かべる千尋
なんか嘘っぽい。
そうあたしが怪しい目で千尋を見ていると、どうやらその目線に気がついたらしい千尋は、
「いやっ、ホントになんでもないからね!?ただ…」
「ただ?」
あたしの鋭い問いに、千尋はうっと攻撃を食らったような顔をした
なんなんだろ…
あ。
もしかしてさっきの見てた……とか?
いや、それはない。
だってずっとリビングにいたっぽいし
じゃあなんだ?
すると、千尋は苦笑いで
「茉奈ちんってさ、フローラルのいい匂いするよね!あれ、俺めっちゃ好き!!」
「あー、そうかな?」
「うんうん!甘すぎないで俺好きかなー…なんて……」
そう言ってチラっと横目で葵をみる千尋
なんで葵を見たのか分からないが、さっきのちゅーの事じゃなくてホッとしたあたしはそんな事はあまり気にしなかった