初恋メランコリック
あっ、ヤバイ。
この唐揚げ弁当めっちゃ美味しい。
なんだこれは。
このジューシーな肉汁といい、カリカリの皮といい。
こんな立派な唐揚げが作れるなんて……
是非とも作り方を教えて欲しいものだ。
そう思いながら、リビングの方を向き1人でパクパクと唐揚げを口に運ぶあたし。
ホントは麻婆豆腐が良かったんだけど、唐揚げ弁当も悪くないな。
ていうかこれ、どこのお弁当屋さんだろう…
今度みんながいない間に何個か買ってこよう。
ふと気になったあたしは、早乙女さんに聞いてみる事にした。
早乙女さんはというと、どうやら先ほどから一歩も動いていない千尋に話しかけていた。
相変わらず千尋は何か考え込んだ表情をしている。
ホントにどうしたんだろうか。
「早乙女さーん!」
そんなのはお構いなしにあたしは早乙女さんを呼んだ。
本当、あたしは神経が図太いと自分でも分かる。
そんなあたしに早乙女さんは、千尋からあたしへと目線を変えてニコッと笑った。