初恋メランコリック
あたしの声に千尋はハッとしたようにこちらを向いた。
「ねぇ、このお弁当ってどこで買ったの?」
「あーそれは俺じゃなくてー…」
そう言葉を濁しチラッと横目で千尋をみて、
「それは千尋が買って来てくれたんですよー。ね、千尋?」
「…えっ、あぁ……うん。」
早乙女さんに話を振られ、そうおもむろに返事をした千尋。
なんかぼーっとしてる。
凛の熱がうつったのかな…
「千尋、どこで買ったの?」
「えっ、あー確か…ほ○弁?」
「おっけー!ありがとう千尋、あたしを唐揚げ弁当に巡り合わせてくれて。」
「え?巡り合わ…?……まぁいいや。うん、どういたしまして。」
そう、千尋との会話を済ませてあたしはまた唐揚げ弁当を頬張り出した。
早乙女さんはなぜか面白そうにクスクス笑っている。
葵と梨紅は、相変わらずテレビに集中していて。
ぼーっとしている千尋に、早乙女さんは微笑みながら耳元で何かを囁くと、千尋は何を言われたのか顔を真っ赤にさせた。
何を言ったんだ、早乙女さん……
改めて早乙女さんは、只者じゃないなと思った。