初恋メランコリック
しばらくして、やっと茉奈ちんがおりて来た。

気のせいか、茉奈ちんの頬は赤いような気はしたけれど。



俺は茉奈ちんに抱きつこうとしたが、それを見事に避けられて、壁に激突した事はダサいから言わないでおこう。






ふと、そんな彼女を通り過ぎようとした。

その時。





気づいてしまった。



俺的には気づきたくなかった事が。
いや、どうしても気づいてしまった事のだ。


彼女がなんてこんなに降りてくるのが遅かったのか。





……葵と今まで何をしていたのか。



それがイヤでも気づかされた。








「そんなに甘かったっけ……」







無意識のうちに出てしまった本心。


それは彼女にも確かに聞こえていて。



俺はバッと口元に手の甲を押し付けた。

彼女は、キョトンとした顔をしていて、一体なんの事なのかさっぱり分かっていない様子だった。



それから急いで話をそらそうとしたが、それが彼女に通じるはずもなく。


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