初恋メランコリック
「茉奈は何も心配しなくていいから。言いたくなったら湊が自分から言うだろうし」




そう言ってポンポン、とあたしの頭を撫でる葵の表情は優し気に微笑んでいた


そう、甘く



葵って、不器用だけどちゃんと優しいんだ

何だかんだ言ってこの人もみんなの事お見通しだ



あたしは、葵のその言葉だけで救われたような気がした


すると、いきなり部屋のドアがガチャっと開いた
あたしと葵は同時にその方向を見る


ドアの前には固まった我らがツンデレ少年の、凛




「おーい、もうそろそろ起きないと………ってう、うわぁぁぁぁあ!?おまっ、お前ら何で2人で……!!??」




そう真っ赤な顔で叫び、螺旋状の階段をけたたましく駆け下りる凛の足跡


それにあたしと葵は盛大なため息をハモらせて、




「…かなりめんどくさい事になりそうなんだけど、どうしてくれる葵氏」



「………めんどい」




朝からまた一波乱ありそうな予感

< 52 / 132 >

この作品をシェア

pagetop