鬱(うつ)病という名の長きトンネル
数日前、俺は率直な印象を妻の洋子に尋ねた。

「以前とはぜんぜん違うよ。
明るくなったような気がする。
自分ではどう感じるんだ?」

洋子は小首を傾げ、考え込んでいた。

「自分では分からないわ。
良くなっているのかもしれないし、
薬があっているだけなのかもしれないし」

やれやれ良かった良かった、などと呑気には構えていない。

「油断は禁物だぞ」ともう一人の自分が警笛を鳴らす。

それでも、一つの山を超えたことは紛れもない事実だろう。


ふと、松田聖子の歌を思い出した。
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