鬱(うつ)病という名の長きトンネル
洋子が仕事を終え、帰宅するのが7時半だったので、それまでに子供を起こし、朝食を食べさせるのが私の日課となっていた。

我が家には3人の子供がいる。

長男の栄治は小学校2年生。

次男のしん太は保育園の年長組。

長女の亜美は、しん太と同じ保育園の年少組。

3人ともすくすくと成長している。


「夜眠れないのよね。だから日中眠くて眠くて」

洋子は夜眠れず、その分日中が眠くてしょうがないと訴え続けた。

「何時間くらい夜は寝てるんだ?」

「昨夜なんか1時間。
いったん目覚めるともう眠れなくて、ずっとネットサーフィンしてたの」

「子供と一緒になって9時とかに寝るからいけないんじゃないのか?
頑張って少し遅くまで起きていたらどうなの」

「そうよね。
でも、朝の仕事のことを考えると、
寝なきゃなって思うし。
その反動で日中とても眠いの。
家事ははかどらないし、
食べたくもないけど、食事を作らなきゃ子供らを飢えさせてしまう」

「食べたくないって食欲もないのか?」

「あんまりないわね。
でもビールならいくらでも飲めるわ。あはは」

洋子は明るく笑った。

その笑い声を聞けば、眠れないことなどたいした悩みではないと、感じた。
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