白い手紙  ~ 二つの心~




 夜光の言葉で、仕草で、こんなにも

 ころころと変わる自分がいるなんて

 今まで気づかなかった。




 私、夜光君が好きだ....。

 



「?!な、なに泣いてるんだ。おい、

...どうした?」



 
 しゃがみながら心配そうに優しく

 気遣ってくれる夜光を見つめ、頬に

 手を当てる。

 



 あ、れ。

 なんで―――...涙なんか...。




 
 
「...すき....」





 ぽろぽろと涙を流しながら自分の

 最大限の力を振り絞ってでた小さな

 声の二言。

 人を、はじめて好きになれた。

 それだけで、十分だった。




 不意にすっと手が私から離れる。




「目障りだ。今まで優しくしてやった

が間違いだったか...。今後俺の半径

1メートル以内に近づくな」



< 203 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop