人貸し屋 外伝
「・・・何があったか、零が何を
思っているのか・・・
この俺には話せないか?」
「・・・慧さんが、優しいと
調子が狂いますね・・・」
困ったように
眉を下げてドクターに言う
「おい、それどういう意味だよ
俺はいつも優しいだろうが」
「・・・そうですね。
優しいです。優しさとは
人間によくある感情ですよね
私には、そんなものがないのです」
コーヒーを飲みながら
ドクターに言うと、ドクターは
静かに話を聞いてくれた
「私は、人間じゃありません。
術師です。なので、感情の起伏が
人間よりも少ないのです
そんな私といるよりも、昼たちは
ちゃんとした人間と育ち
普通に生きていかなければなりません」
「・・・普通、か」
新しい煙草に火を灯しながら
ドクターが呟く