人貸し屋 外伝
「・・・なので、私は2人から離れ、
幸せになってもらいたいのです」
目を伏せながらそう言うと
ドクターの煙を吐く息だけが聞こえる
「・・・それだけか?」
「・・・はい?」
顔を上げると、
眉間にしわを寄せたドクターの顔
「・・・本当にそれだけかっつってんだよ」
何も言わなくても私のことがわかる
ドクターの優しさ
でもそれが、今の私には
とても辛いことだった
「・・・・・・あと、1か月だと思います」
「あ?」
突然言った言葉に
聞き返すドクターの声
それは、優しいながらも
棘のある声だった
本当のことを話さない私を
嫌いになったのだろうか・・・