人貸し屋 外伝
肩を濡らす温かい何か
それが涙と言うことに気付くのには
時間はかからなかった
「・・・なぜ、泣いているのです」
「・・・泣いてねえよ。酒だ」
「溢れるくらい飲まないでください
体に悪いですよ?」
「・・・っ、うる、せえよ」
徐々に腕に力が入っている
私は小さく笑みをこぼした
「・・・だから言いたくなかったのです
誰にも言わず、1人で死にたかった」
「・・・そんなの、アイツらが
許すわけねえだろうが」
アイツらというのは・・・
たぶん、昼と夜のことだろう
「・・・なら、なおさらです。
この瓶を持ってきて正解でした」
そういって袖から
普段より少し大きな瓶を取り出す
「・・・なんだよそれ」
私から離れたドクターが
瓶を受け取る