人貸し屋 外伝



「昼の瓶です。

 夜はまぁ、人間になりたいわけですから

 そのままでいいとしても・・・

 昼は瓶がなくても、もう人間として

 生きていけますからね」



「ちょ、まて・・・

 よく意味がわからないのだが」



「昼は人間なのに、あの日以来

 私が勝手に戌人間にしました。

 この瓶さえ閉じれば記憶を忘れ、

 元の人間に、普通の人間に戻れます」



なぜか、悲しくなって

泣きそうになって

早口でそう言う



人間の感情なんて、

私が持ってるはずないのに



「・・・それを、昼は知ってるのか?」



「・・・言えば、止められます。

 話してありません」



「・・・何も言わず、

 昼に忘れさせるのか」



「その方が、どちらも悲しくない

 これが一番いいのです」


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