人貸し屋 外伝
「悲しいって言え。
1人がいやだって、言え」
「・・・そんな性格でしたか?」
夜にしては、わけのわからないことを言う
ただ、温かい夜の腕から
想いが伝わってくる
「俺は、いやだ。
零から離れるのも、
お前が死ぬのも・・・」
「・・・知ってたんですか」
夜の頭を撫でながら
小さく呟く
慧さんが言ったんだろう
余計なことを・・・
それでも、顔がほころんでしまう
「死にますよ。それは変わらない
私がどれだけ望んでも・・・
でも、いいんです。
あなた達といた時間が
とてもいい時間でしたから。
悔いはありませんから」