人貸し屋 外伝
「あの時私は、ライクの好きと
自分で言いました。
しかし・・・あの方の、最後の言葉を
今でも鮮明に思い出せる」
「・・・・・・好きだからだろ」
悲しそうに、夜が呟く
「死人の言葉など、
もう囚われなくて済むのに・・・
あの時の返事は、嘘なのに、
私は、自分が不思議でならない」
あの方がいない以上
あの約束を破っても何もならない
だけど、忘れられない自分がいる
「不思議ですね、夜
私に、人間の貪欲な感情が
芽生えそうな気がします」
小さく微笑みながら言うと
夜はスッと私の手に手を重ねてきた
「・・・・・・どうしたのです?」
「・・・散歩だ。
離れないように繋いでいる」