人貸し屋 外伝
「・・・うん。ありがとう」
最後の涙がこぼれて
噛みしめるように唇をかむ
もう、泣かない
楽しく生きなければ、
いけないのだから
「・・・もう、開けてもいいですよ」
零の言葉を聞き
ゆっくりと目を開けると
そこにはもう、母さんはいなかった
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・さぁ、お帰りなさい」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・家で、待っているのでは
ないのでしょうか?
お母様以外の、家族が」
「・・・・・・はい」
私には、家族がいる
帰らなければいけない
「・・・ありがとうございました
さようなら・・・零」