若き店主と囚われの薔薇
「……じゃあ、新たな俺の友人に」
優しい笑みのまま彼は、そばに置いてあったあの鞄を取り出した。
彼の膝の上に乗せると、目の前で鞄が開かれる。
目を見開く私の目の前に、差し出されたのは。
翡翠色の、ペンダント。
「俺の想いを、託そう」
…そう言ったエルガは、笑っていた。
けれど、瞳は真剣で。
まっすぐ、まっすぐ、私だけを見ていた。
…ほんとうに?エルガ。
それを私に、託してくれるの?
「…っ、」
じわじわと、視界が涙でにじんでいく。
そんな私を見て、エルガはますます笑った。
「まだ、あるぞ」
エルガはそう言うと、私の手をとった。