若き店主と囚われの薔薇
そこで彼に、私がここへ来たときに着ていたドレスを、いくらかのお金に替えてもらった。
それからエルガへ向き直ると、私は最後に「じゃあ」と言った。
「さよなら、エルガ。…きっといつか、良い知らせを持って来るわ」
これは、約束。
必ず果たす、たったひとつの彼との約束。
「…ああ」
エルガが、柔らかく笑う。
…フードを被り、翡翠と赤のペンダントと、少しのお金を持って。
夜明け、私はここを出た。