若き店主と囚われの薔薇
ジェイドは、受け取った翡翠のペンダントを見つめる。
「…これって……」
「翡翠、です。…今のあなたの名前と同じ」
偶然だろうか、これは。
彼女の新たな名前が、『ジェイド』であったこと。
…運命で、あってほしい。
彼女はペンダントを見つめ、そしてその橙をじわじわと潤わせる。
泣くのを堪えるように、彼女はぎゅっと瞳を閉じた。
「…どうしてこれを、エルガが…?」
その声は、震えていて。
隣のルトと、目が合う。
彼は、眉を下げて笑った。
「…移動しますか。赤髪の『届け屋』さん」
その手が、碧色の頭を優しく撫でる。
私は「そうですね」と、穏やかに笑った。
*
それから私達は、街の中の食事ができる場所へ行き、そこで話をすることにした。