若き店主と囚われの薔薇
何度も挫けそうになって、諦めようかと迷って。
それでも、私をこの道へ導いてくれたのは、間違いなくこの赤と碧だった。
「辛かったけれど…諦めずにここまでこれたのは、他でもない、エルガとの約束のおかげです」
前を見据える。
ジェイドは、その橙の美しい瞳で瞬きを繰り返し、「…約束?」と尋ねて来た。
「はい。私が、一生をかけて果たすと約束した、ある目的のために。…そのペンダントを、ジェイド、あなたに渡すために。私は、今まで生きてきました」
ジェイドが、目を見開く。
その手に、大事そうに握られたペンダント。
それに視線を落としたルトは目を細めて、「お前の髪と同じ色だな」と呟いた。
「……………」
ジェイドは、言葉を失った。
驚くのも仕方ない。
彼女にとって、エルガは過去にいた奴隷屋の、店主に過ぎない。
そんなエルガが、自分にペンダントを贈ってくるなんて。