若き店主と囚われの薔薇



「……さて。私に尽くしてくれる、賢い子はだあれ?」


真っ赤な紅の引かれた唇が、妖しく弧を描く。

子供達は、まっすぐに婦人を見つめていた。

女も、楽しそうに子供達を見回していた。


「…あら」


女の目が、ある一点で動きを止めた。

その視線は、赤髪の少女を除く、この子供達の中でいちばん歳上の、ウーノという少年へ向けられていた。


「あなたの目の色、素敵ね」


ウーノの、少しばかり青の混じった灰色の瞳。

それを覗き込むようにして、女はウーノへ顔を近づけた。

ウーノは怯えることもなく、ただじっとしている。


「あなた、名前は?」

「ウーノ、です」

「ウーノ、いいわ。ねえ、私のこと、どう思う」


ウーノの瞳が、微かに細められる。

試しているのだ、この貴婦人は。

どのような答えを、口にするかで。



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