若き店主と囚われの薔薇
……決まりだ。
ウーノは、この問いに『正解』した。
「…ウーノ。あなたはまだ、母親のことを思って生きているのね…」
貴婦人の手が、ウーノの頬に触れる。
次の瞬間、女は不気味なほどにっこりと笑った。
「私が、あなたの母になってあげる。たくさんたくさん可愛がって、愛情をたんまりとあげるわ」
……それはそれは、歪んだ愛情だろう。
母という名の女の、理想の息子に作り変えられる。
それをわかった上でウーノは、青みかかった灰色に、柔らかな歓喜の色を広げた。
「私のところへ、来てくれるかしら」
微笑んだ女が、ウーノへ手を差し出す。
ウーノはやっと見つけた『ご主人様』の手を、嬉しそうに握り返した。
「オーナー」
「はい」
目を細めた婦人が、こちらへ向き直った。
「この子をもらうわ」
他の子供達が、小さくわぁ、と声をあげる。
ウーノは、瞳の青をより色づかせて、新しい主人を見上げた。