若き店主と囚われの薔薇
子供達の目も、段々と柔らかくなっていく。
少女は片手を握りしめ、瞳をきつく閉じると、ボタボタと涙を溢れさせた。
……ひとり塞ぎ込むばかりだと思っていた、彼女は。
「あ、あなたたちに気遣われる私の方が、よっぽど惨めじゃない…!」
突然ひとりぼっちになった寂しさに、震えていた。
「…………」
赤髪の少女の、鼻をすする音だけが響く。
テンの瞳は、優しく細められていた。
「…おねえちゃんは、優しいね」
涙の浮いた瞳が、見開かれる。
テンは、自分を驚いた顔で見下ろす少女に、優しく笑いかけた。
「ぼくたちの心配、してくれるんだね」
その言葉を聞いて、少女の瞳にさらに涙がにじんだ。
「わ、私はっ…」
「あのね、ぼくたち嬉しかったんだ。さっき、おねえちゃん、ウーノのこと『友達』って言ってくれたでしょ。それでぼくたちは友達だったんだって気づいたんだよ」
テンが笑うと、他の子供達もうんうんと頷く。