若き店主と囚われの薔薇
エリーは隣にいるテンと笑いあうと、少女をまっすぐに見つめた。
その瞳は、輝いていて。
「おねえちゃんは、薔薇みたい!」
少女の、髪と同じ赤の瞳が大きく見開かれる。
眉を寄せ、瞳を細めて。
「………っ、」
じわじわと、再び涙をためていった。
「……お前の目の前にいる少女が、エリー。その横にいるのが、テンだ」
カタン、と椅子から立ち上がって、俺は入り口の前に立っている三人を見つめた。
少女は、口元を覆って瞳をギュッと閉じている。
ふたりの名前を紹介したあと、俺は目を伏せて、フッと笑った。
そしてもう一度、自分の名前を告げた。