若き店主と囚われの薔薇
「ちょっと…何するの!?」
テンの身体を起こしながら、思わず私は叫んだ。
その瞬間、男の手が振り上げられて。
ーーパン!
抵抗する間もなく、私の頬に熱い痛みが生まれた。
何をされたのか理解するまでに、数秒かかる。
…なんて、人。
信じられない思いで、目の前の男を見る。
その目には、明らかに私達への侮蔑の色があった。
「…!」
他の子供達が、今にも声を出しそうなほどに、悲痛そうな顔をしている。
「貴様ら奴隷は、ただ道具のようにそこに存在することしか許されない!」
…恐怖とは、このことをいうのかと。
私は、目の前の光景を見つめながら、そう思った。